本社採用ではなく、派遣社員だった…
この春、都内の有名私立大を卒業予定の木村怜奈さん(仮名・22歳)は、大手人材派遣会社に内定をもらいました。大学では心理学を専攻し、ボランティアで高校生のキャリア相談にも乗っていたそうです。その経験から、人と企業を結びつけ、誰かのキャリアを支える仕事に魅力を感じたといいます。
ところが、木村さんは本社でのコーディネーター職ではなく、実際には外部の企業に派遣される側でした。
「面談では本社採用と約束してもらったから入社したのに、突然、4月からIT会社にテレフォンアポインターとして派遣すると言われました」
木村さんが会社に説明を求めても、「決定事項だから」の一点張り。派遣先との面談では、テレアポのノルマ、クレーム対応方法、IT業界の専門用語などを丁寧に教えてもらったといいます。しかし、聞けば聞くほど、自分には向いていないと感じました。
さらに派遣会社で働く限り、いつ派遣先が変わるかはわかりません。そのたびに面談があると思うと、気が重くなります。彼女にとって、派遣先の仕事内容以前に、繰り返される面談そのものが大きな心理的負担だったようです。
「納得できないまま働き続けるより、一度リセットして考えたほうがいい」と木村さんは退職を決意。入社直前での説明に、木村さんは余計に騙された思いが強くなり、「会社とは一切話したくない」と退職代行に依頼してきました。
●どうすれば、新卒の離職を防げたのでしょうか? 後編【「あんな会社とは一切話したくない」本社勤務のはずが派遣社員!? 新卒社員に即退職を決断させた「致命的なギャップ」とは】で詳説します。
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