米国雇用統計の結果は

 

結論から言うと、全体的に弱い内容でした。特に非農業部門雇用者数は、前月値が14万3000人から12万5000人へと下方修正され、今月の予想16万人に対して実績も15万1000人となりました。

この数字自体は大きな懸念材料ではありませんが、前月の下方修正と合わせて考えると弱さが見られます。また、失業率は2月予想と1月の実績4%に対し4.1%へと小幅上昇しています。

特に注目すべきはU-6と呼ばれる広義の失業率です。米国では6種類の失業率が公表されています。通常言及される失業率はU-3です。対するU-6はフルタイムで働きたいがパートタイムでしか働けないなど、不完全雇用の状態にある人も含めた広義の失業率を示します。このU-6が7.5%から8%へと急上昇しました。これは2019年以来6年ぶりです。

平均時給の伸びは、前月比で予想0.4%に対して0.3%、前年比では3.9%から4%となり、ある程度高い伸びを維持しています。しかし、労働市場全体としては減速傾向にあると考えられます。

失業者1人当たりの求人件数は2022年には2倍近くでしたが昨年12月時点で約1倍まで低下しています。

また賃金もアトランタ地区連銀や求人サイト、indeedなどが発表している先行性のある指標である賃金トラッカーでは、伸び率は縮小トレンドにあります。

 

ですから、総合的に見れば、米国の労働市場は極端に悪化しているわけではありませんが、ひっ迫感は薄れてきている状態です。