日産自動車・パナソニック人員削減の衝撃

上場企業の大型リストラが続いています。

5月の連休明けには、日本を代表する大手自動車メーカーである日産自動車が、グループ全体の約15%に相当する、2万人程度の、そしてパナソニックは、グループ全体の約4%に相当する1万人規模の人員削減を、それぞれ発表しました。

日産自動車の人員削減は、当然といえば当然のことです。2025年3月期決算によると、売上は12兆6332億円ですが、6709億円の純損失になるという数字が出されています。昨年12月にホンダと経営統合に向けた話し合いが行われ、何とか危機を脱するかと思われましたが、今年2月には“婚約破断”となりました。

台湾の鴻海精密工業や、米EVメーカーのテスラが、日産自動車を買収するという話も浮上しましたが、今年2月12日には、鴻海精密工業の会長が記者団の取材に応じ、日産自動車の筆頭株主であるフランス自動車大手ルノーと接触し、日産自動車株の取得について話したものの、「買収するつもりはなく、協業が目的」と言っています。

むろん腹の底は分かりませんし、日産自動車が発行済株式の26%を保有している三菱自動車が、鴻海のEV開発子会社であるFoxtronから、電機自動車のOEM供給を受ける動きもあり、鴻海が日産自動車を単なる協業相手として見ているかどうかは、何とも言えません。

ちなみにテスラは目下、経営トップの政治的行動・発言が、経営にもネガティブな影響を及ぼしているとの指摘もあり、恐らく日産自動車買収に名乗りをあげる余裕はないでしょう。

日産自動車としては、買収してくれるところが確定しているなら、それはそれで安心材料なのでしょうが、現時点ではどっちつかずの状態が続いているため、ひとまず単独生き残りを前提にした大規模リストラに踏み切った、というところではないでしょうか。