パナソニックは決算で「黒字」であっても、人員削減
一方、パナソニックの業績は、日産自動車ほどひどいものではありません。2025年3月期決算によると、3662億円の純利益になっています。
ただ売上は、2024年3月期決算が8兆4964億円に対し、2025年3月期決算予想は8兆4582億円で微減。ちなみに純利益は黒字ではありますが、2024年3月期決算に比べると、▲18%の減益になります。つまり決して楽観できるものではありません。
状況の厳しさについては、楠見雄規グループCEOも認識していて、パナソニックのIRサイト『パナソニックグループCEO 楠見雄規、構造改革の真意を語る ―変革と成長への決意―』で、いくつかの問題点を指摘しています。
「パナソニックグループの最大の課題は、この30年間、実質的な成長ができていないこと」
「過去から何度も構造改革を断行しながら、調整後営業利益率が5%に達すると、成長戦略のためにすぐに固定費が増加、結果として営業利益率が低下してしまう、というサイクルを繰り返してきました」
「販管費率が高いということは、すなわち私たちの販売・間接部門を中心とした労働生産性に大きな課題があるということです」
パナソニックが今後の成長領域と考えているのは、①車載電池、②データセンター向けソリューション、③法人向け省エネ・サプライチェーンマネジメントサービス、の3点です。これらの成長を目指すのと同時に、総務や人事といった間接部門のスリム化を図るのが、今回の1万人リストラの目玉です。
「固定費が増加」、「私たちの販売・間接部門を中心とした労働生産性に大きな課題がある」という、楠見CEOが目下の課題として捉えている点からも、間接部門のリストラに大ナタを振るうのは明らかでしょう。