恐怖指数の動き
ここまでを踏まえて、VIX(恐怖指数)を見ていきたいと思います。

足元では25近くまで上昇しています。過去1年で最も盛り上がったのは昨年の夏です。7月ごろにNVIDIAの株価がダブルトップを形成したことを端緒にITセクター手動で株式相場が下落し始めました。
7月末の日銀利上げも影響して日本株も暴落。世界的に株式相場が軟調に推移した場面でVIX指数は40近くまで上昇しました。また年末にも一時大きく上昇する場面がありました。そして現在は年末に次ぐ水準まで上昇しています。
つまり、トランプ大統領の関税にまつわる政策の連発が市場にとって重石となっていると言えるでしょう。ここでトランプ大統領の関税政策について振り返ってみましょう。

まず、対中国関税は10%上乗せされ20%となりました。USMCA(メキシコとカナダ)に対しても3月4日から関税が発動されています。ただし、自動車やUSMCAの枠組みを通じた品目への関税発動は4月2日まで延期されました。対して鉄鋼・アルミニウムに対する関税は来週12日から開始予定です。
EUに対する関税も近く発動される見込みで、税率は25%程度になるとトランプ大統領は発言しています。さらに相互関税として、相手国が米国に課している関税と同率を米国も課すという政策も検討されています。
さて、対中国の関税については、10%刻みで20%になった形です。ただ、トランプ大統領は選挙期間中、中国には60%の関税を課すと言及していました。ですから、現在の20%から交渉の進捗をみながら段階的に税率を引き上げていく可能性も考えられます。
マーケットが最も嫌うのは不確実性、不透明性です。関税政策の全メニューが例えば来週一度に明らかになるのであれば、初期の混乱こそあっても、市場は「それはそれとして」状況を受け止め、そこから新たにマーケットと対峙していくでしょう。つまり、早く全部出尽くすことが大事です。
逆に言えば、日替わりで政策発表と撤回が繰り返されるような状況が続くうちは、マーケットもかなり不安定な状況が続くと思われます。