前編に続き後編では三つのポイントについて解説します。
まず株式市場を見ていきましょう。過去1週間の下落幅と年初来のパフォーマンスを見比べてみます。
今週最も下落したのは米国とカナダの市場でした。これは両国間の関税問題が懸念されたためと考えられます。日経平均株価も3万7000円を下回ったと報じられました。しかしながら、先週の終値との比較では0.7%程度の小幅な下落にとどまっています。
とはいえ、日経平均は年初来で見ると約7%と主要指数の中で最も大きな下落率を記録しています。円相場が年初の158円台から10円以上も円高に進んだこと、また関税が自動車などを扱う日本のグローバル企業に大きな打撃を与えるとの懸念が高まったこと、リスク回避の動きが強まったことなどが要因として挙げられます。
その結果、前述のドル指数に含まれる7通貨にフランスを加えた8カ国の中で、日本株は年初来のパフォーマンスが最も振るわない状況にもなっています。
さて、ここからは米国雇用統計の結果を振り返ります。
著者情報
内田稔
うちだみのり
高千穂大学 教授/FDAlco 外国為替アナリスト
1993年慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2007年より外国為替のリサーチを担当。2011年4月からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌(旧ユーロマネー誌日本語版)の東京外国為替市場調査では、2013年より9年連続アナリスト個人ランキング部門第1位。2022年4月より高千穂大学に転じ、国際金融論や専門ゼミを担当。また、株式会社FDAlcoの為替アナリストとして為替市場の調査や分析といった実務を継続する傍らロイターコラム「外国為替フォーラム」、テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、News Picks等でも情報発信中。そのほか公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカルアナリスト協会認定アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本金融学会会員、日本ファイナンス学会会員、経済学修士(京都産業大学)
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