新NISA、iDeCo…変化する日本の資産形成

政府による「資産所得倍増プラン」の推進や新NISA制度の拡充により、資産形成への関心がこれまでになく高まっている。新NISA口座数は2025年3月末に2647万口座を突破、制度拡充前の23年12月末と比較して約522万口座も増加した。

こうした制度整備が進む一方で、民間企業の意識調査によれば約9割の人が将来のお金に不安を抱えており、また別の調査では「お金の悩みを相談したことがない」という回答が約4割にのぼるという。仕事に忙しいビジネスパーソンにとってお金の悩みを解決するための時間を捻出することは難しい場合も多い。

一方で海外では、企業が従業員の資産形成を支援する取り組みEAP(Employee Asist Program)が一般化している。Japan Asset Management(JAM)の堀江智生代表は「お金に対する不安がある中、相談先が分からないという人が多い。企業が福利厚生として紹介する相談先であれば、相談への心理的ハードルが下がるという声もあります」と説明する。

国内外で大手金融機関を中心にこうした企業の従業員向け(職域)における金融ビジネスが拡大している。例えば、米モルガン・スタンレーは「モルガン・スタンレー・アット・ワーク」、三菱UFJ銀行は「MUFG@Work」といったブランドを立ち上げている。また野村證券や三井住友信託銀行も、同様に職域向けのサービスを展開する。今、従業員向けの資産形成サービスが求められる背景には何があるのか。

2023年9月にNECと資本業務提携を締結したJAMは展開する社員向け資産形成サービス「Shines(シャインズ)」に関して、今年5月にNECおよびグループ社員約900人に対するアンケート調査を実施。結果からビジネスパーソンが抱えるお金の悩みが浮かび上がった。

 
左からJapan Asset Management代表 堀江智生氏、
NECみらい価値共創本部主席ビジネスプロデューサー/Painter代表 岩田太地氏