お金の不安を解消し、やりたい仕事に集中できる環境をつくる

一連の取り組みにおいて、特に注目すべき点は前述の調査からも明らかになった経済的不安と挑戦意欲の関係だ。20代・30代社員において、経済的な不安がない人は、不安がある人と比べて「積極的に挑戦したい」「どちらかというと積極的に挑戦したい」と回答した割合が明らかに高かった。

20代・30代社員の経済的不安の有無によるモチベーション比較を表した図表
 
出所:Japan Asset Management
「社員の経済状況と福利厚生としての資産形成サービスに関するアンケート」
 

この結果は、資産形成支援が単なる福利厚生の一環にとどまらず、社員の挑戦意欲や創造性を引き出す土台となることを示唆している。従業員のファイナンシャル・ウェルビーイングを満たし、企業のエンゲージメントの向上につなげること、そして従業員がやりたい仕事に集中できる環境を提供することが真の目的となる。

一方で課題もある。企業が制度を整えたとして実際の従業員の利用をより促進していく必要がある。誰もが定年間際になって慌てたくはないのが本音だろう。企業側が働きかけるだけでなく、従業員一人ひとりの資産形成への向き合い方も問われている。