2025年10月下旬、新聞紙上で『企業型DC「放置」3300億円』と大きく報道されました。
企業型確定拠出年金(DC)を実施されている事業所の担当者なら、見過ごすことができない記事だったのではないでしょうか?
「自動移換」とはそもそも?
確定拠出年金(DC)は、個々人が自身のDC口座を管理することを前提にしています。
DCというと、運用は自己責任というイメージが強いかと思いますが、ほかの部分でも個々人の意思表示が重要です。たとえば次のような場面が想定されます。
・企業型DCの加入者掛金を拠出するかどうか
・個人型DC(iDeCo)の掛金拠出をするかどうか
・転退職時の資産の持ち運び
・老齢期の給付手続き
上記のうち、転退職時に意思表示をしなかった場合に「自動移換」となります。
勤めていた企業型DC実施事業所を60歳より前に退職すると、その企業型DCに資産を残すことはできません。そのまま手続きをせずに放っていても、自動で個人型DC(iDeCo)に資産移換されるわけではありませんので、DCの資産が宙に浮いてしまいます。そのため、記録と資産の双方がiDeCoの実施機関である国民年金基金連合会に自動的に移されて保管されることになります。ここで注意が必要な点は、iDeCoにではなく、国民年金基金連合会に移換されることです。自動移換になると資産の運用もできなくなり、かつ手数料も差し引かれ続けます。
