ビール減税で2026年に商機 アサヒは「マルエフ」リニューアルで対抗

最後に市場の動きにも触れておきましょう。国内のビール市場は2026年に大きな変化を迎えます。ビール系飲料の酒税の一本化に伴い、ビールの需要の増加が見込まれます。商機を逃さないよう、アサヒグループホールディングスもビールの強化に取り組みます。

ビールの酒税は、2020年10月から段階的に引き下げられてきました。反対に発泡酒と新ジャンルは引き上げられており、2023年10月に両者の差はなくなっています。アサヒグループホールディングスによると、発泡酒と新ジャンルの店頭価格差は2023年末までの5年間で21円から5円に縮小しました。なお、ビールと新ジャンルの価格差は同期間に78円から40円まで狭まっています(350ミリリットルあたり)。

そして2026年10月、3種のビール系飲料の酒税は統一される見込みです。ビールとの価格差も縮小することが予想されるため、消費者の流入が期待されます。

 
出所:アサヒグループホールディングス ファクトブックより著者作成
 

需要の拡大を見込み、アサヒグループホールディングスの中核企業であるアサヒビールは、人気商品の1つ「アサヒ生ビール(マルエフ)」のリニューアルを公表しました。製造工程における処理の変更により味わいの向上を訴求します。またアルコール分は4.5%から5.0%へ引き上げられ、パッケージデザインも刷新します。切り替えは2025年1月製造分から行われます。

ビールのリニューアルは競合も積極的です。サッポロビールは「エビスビール」を2024年2月製造分から、サントリーは「ザ・プレミアム・モルツ」を2024年12月販売分から順次切り替えています。またキリンビールは2024年4月に新商品「キリンビール 晴れ風」を投入したほか、「キリン一番搾り生ビール」を2024年6月製造分からリニューアルしました。

酒税の改正をにらみ、国内のビール市場は活性化しています。アサヒグループホールディングスは競争に勝てるのでしょうか。市場の関心が寄せられます。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)