そんな義両親が唯一、出費を惜しまなかったのは…

義両親はレジャーや旅行にもとんと興味がないようでした。温泉旅行をプレゼントしようとしたことがありますが、「そんなことにお金を使うのはもったいない」と固辞されました。

それは妻も同じで、私だけが出かけるのも気が引け、結果的に家を空けるのは私の実家に帰省する時くらいになりました。遊びたい盛りの息子にはかわいそうなことをしたと思っています。

半面、義両親はともに家庭の事情で自分の思い通りの進路に進めなかったという後悔があり、妻や義姉の教育には出費を惜しまない様子でした。60代の義姉は同世代では珍しく大学院で修士号を取得しています。

教育熱心なのは孫世代に対しても同様で、息子の教育費も過分に援助してもらいました。ただ、正月にお年玉をくれたり、誕生日にゲームソフトをプレゼントしてくれたりするのは専らうちの両親だったので、現金な息子は田舎のおじいちゃん、おばあちゃんの方に懐いていたのですが。

そんな義両親ですから、年金生活でもお金は貯まる一方でした。公務員で在職期間も長かったため2人合わせて40万円をゆうに超える年金を受け取っていたはずですが、月の出費はその4分の1にも満たないのですから当然と言えば当然です。

がんを患った義父が8年前に亡くなった時、不動産や金融資産を含めた遺産の評価額は1億5000万円ほどになり、相続税の申告をお願いした税理士の方には「失礼な言い方かもしれませんが、区役所の一職員でよくここまで貯められましたね」と驚かれました。

それは、ちょうど同じ頃に亡くなった私の父親とは対照的でした。

●金子さんの父親は、義両親とは正反対のタイプでした。父親の価値観に共感する金子さんにとって、質素すぎる生活を送る義両親と生活するのは、なかなか骨の折れる作業だったようです。後編【食費は夫婦2人で月2万円、「30代の頃の服が着られる」が自慢…義両親との同居で判明した「驚きの生活実態」】で詳説します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。