交際1カ月で同棲をすることに

交際を始めて1カ月がたったころ、瑠璃は週に1度は訪れるようになっていた大貴の家で新作のアニメを見ていた。鑑賞が終わりコーヒーを飲みながら感想を言い合ってると、大貴が少し緊張した表情で話題を変えてきた。

「俺さ、瑠璃さんと一緒にいられて本当に幸せだと思ってるんだ」

「え? ありがとう。でもなんで急に?」

「ここのマンションさ、今年で契約が切れるんだよね。だから引っ越しを考えてて、もし瑠璃さんが良かったら、もうちょっと広い家に引っ越して、一緒に住まないかなって……」

大貴の提案に瑠璃は目を見開いた。単なる驚きのつもりだったが、大貴は慌てたように髪をかいた。

「あ、もちろんまだ付き合い始めて1カ月だし、あせる必要とか全然ないんだけど」

「全然嫌じゃないよ。一緒に住みたいって私も思ってたし」

「そうか……、ありがとう。俺ね、瑠璃さんとのことをすごく真剣に考えているんだ。子供だって俺は欲しいって思ってる。でも俺は30を超えてるからさ。あせらせるつもりはないんだけど、できるだけ早く身を固めたいなって思ってて……」

お互いが結婚に対してすごく前向きだということは日頃の会話からなんとなく知っていた。しかしハッキリと子供のことまで具体的に話したことはなかった。

「……そう言ってくれて本当にうれしい。私も子供は欲しいと思ってたんだ。でもあんまり口に出すと重いかなと思ってた」

冗談めかして笑った瑠璃に、大貴は首を振る。

「そんなことないよ。俺は瑠璃と幸せになりたいって思ってるから」

「なにこれ、照れるんだけど」

瑠璃は照れ隠しに大貴の肩を小突いた。