「もう一度あのような暮らしをしたい」

旦那さんが亡くなった後しばらくして、美智子さんは結婚を考えるようになりました。63歳とはいえ、人生100年時代ですからまだ先は長いです。恵まれた子ども時代を思い出し、「もう一度あのような暮らしをしたい」と思ったからと、後になって話してくれました。

今度こそわがままを言っても許される人生を送りたい美智子さんですが、実際は簡単なことではありません。相手の男性も同じことを考えるので、お互いに譲り合うことができないのです。美智子さんも「今までの結婚生活では、贅沢を我慢してきたのだからもう嫌だ!」と言います。結婚相談所の会員になられて、私たちも美智子さんのお相手を探しますが、美智子さんは首を縦に振らない状況が続きました。

お金には妥協ができない。これが本音

結婚相談所には、実にたくさんの方が登録されます。それぞれ人生観がありますが、お互いに妥協ができないのはお金の面であることが多いです。もうすぐ結婚というところまで進んでも、お金の価値観の違いで破談になることもあるくらいです。

例えば女性はある程度優雅に暮らしたいですし、温泉に行ったり旅行をしたりしたいもの。それにこれまで一心不乱に働いたり家事をしたりしてきたのですから、これからは自分磨きもしたいものでしょう。エステや美容院、ネイルサロンにも行きたいという女性は少なくありません。それにスタイルの維持も欠かせません。

その背景には、同年代の女性から羨ましいと思われたい、マウントを取りたいという欲があるように思います。もちろんそのような気持ちが自分磨きのモチベーションになりますが、それを叶えてくれる男性は、基本的にもう誰かの夫になっていることが多いです。なぜなら、そのような男性を、他の女性は放っておかないですから。

また、ある程度の年齢になってからの結婚の場合は、相続で争いが起こらないように婚前契約を結ぶことも珍しくはありません。遺産の取り分を心配する子どもたちが再婚に反対するからです。結婚自体を諦めさせるために、「再婚したら、もう会わない」と迫って、結婚を諦めさせたご家族もいました。