(3)「預貯金は使うためにある」。ではどこにある預貯金から使う?

総務省統計局の調査※によれば、50歳から59歳の2人以上世帯の平均では、貯蓄から負債を除いた預貯金は1000万円程度です。

※総務省統計局「家計調査報告」〔貯蓄・負債編〕 2023年(令和5年)平均結果の概要(二人以上の世帯)(外部サイト)

「老後に1000万円ぽっちの預貯金では心もとない」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで案外多くの人が見落としている資金があります。それは、企業を退職する時に福利厚生制度から受け取る資金です。

<福利厚生制度から受け取れる資金の例>

①財形貯蓄、社内預金
②従業員持株会
③積立保険
④共済会等の餞別(せんべつ)金・お祝い金等
⑤企業型確定拠出年金(選択制)

これらは原則現金で受け取れます。1つひとつの項目で見れば金額は大きくありませんが、すべてを足してみると結構な金額になります。ライフプランを考える際には、退職一時金だけでなくこれらの資金を含めた総額を把握することがポイントです。また、事前に「将来に必要となる資金」「負債の返済と月割りにして新たな生活収入として活用する資金」とに色分けしておくと使い方にも迷いません。

預貯金は時間をかけて貯めてきたものですから、愛着もあり、取り崩しに抵抗を感じてしまうこともあるでしょう。しかし、上記のような「本来想定していなかった資金」から優先して使うことで、預貯金を取り崩すストレスも多少は緩和することができます。

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