「遺留分」とはどのような制度か
まずは遼さんの主張する遺留分というものがどのような内容であるのか確認してみよう。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められた最低限の相続分である。言い換えれば、亡くなった人の兄弟姉妹以外の相続人であれば誰でも最低限は相続財産を受け取る権利があるということだ。
遺言書によってすべての相続財産と特定の相続人に相続させようとする例は少なくない。しかし、いくら故人の意思とはいえそれを貫いてしまうと平等を欠くこともある。加えて遺族のその後の生活に影響することもある。そういった諸問題を是正するために存在しているのが遺留分というわけだ。
だが、遺留分を有するのは亡くなった兄弟姉妹の相続人以外だ。叔父たる遼さんは亡くなった父、崇さんの兄である。先に述べたように兄弟姉妹に遺留分は存在しない。つまり、遼さんは遺留分を受け取ることはできないのだ。
なお、似た制度に代襲相続というものがあるが、結論から言ってしまえば遼さんは代襲相続をすることができない。代襲相続とは、本来相続人となるべき方がすでに亡くなっていたり、相続権を失っていたりするような場合に、その者の子や孫が変わって相続するというものだ。
その点、遼さんは本来の相続人である。代襲相続はそもそも無関係だ。