4.旧NISAでもうかっている投資信託は売却してもいい?

質問
「コロナ禍でNISA口座を開設し、以後3年ほど積立を続けてきました。旧NISAはいずれ終了すると聞きましたが、保有商品は売却した方がいいのでしょうか?」

回答
つみたてNISAを含む旧制度で購入した投資信託の非課税期間はいずれ終わりを迎える。含み益が発生しているなら解約し、新NISAの原資として活用するのもあり。

旧制度の一般NISAは投資をした各年から数えて5年、つみたてNISAは同20年間、非課税で運用を継続できます。つまり、制度の最終年にあたる2023年の購入分は、一般NISAで最長2027年まで、つみたてNISAで同2042年まで非課税で商品を保有し続けられます。いずれの場合も、まだ非課税で継続保有できる期間に猶予はありますが、いずれは終了するため、おおむね20%以上の含み益が発生している場合は解約(売却)し、新NISAの投資原資に充ててもよいでしょう。

なお投資信託は、全額はもちろん、保有資産の半分だけ、含み益に該当する額だけなど、部分的に解約することも可能です。

5.積み立てる頻度は「毎月」よりも「毎日」にした方がいい?

質問
「旧NISAでは毎月1日に3万円を積み立てていましたが、SNSなどを見ると、毎日数百円程度、貯金箱にお金を入れるように積み立てている人も多いようです。やはり、月1回よりも回数を増やした方が分散効果はあるのでしょうか?」

回答
積立投資の購入頻度を増やしても、平均買付単価を引き下げる効果は限定的で、最終的なリターンに大きな差は生まれない。

一見すると、積み立てる頻度を増やした方が、より時間分散効果が高まるように感じられますが、現実にはリターンに大きな差は生まれません。これは、積立投資における平均買付単価が、一般的な算術平均ではなく、「調和平均」によって求められるためです。

「調和平均」とは、いわゆる「平均」の一種で、往復の平均速度などを算出する際に用います。一般的な算術平均が、対象となるデータ値を足してデータ数で割るのに対し、調和平均は、対象となるデータの逆数を足してデータ数で割り、さらにその逆数を取るという方法で算出されます。投資信託の基準価額は、「1万口あたりの評価額」なので、平均買付単価を求める際は、算術平均ではなく、この調和平均を使います。

例えば、1万口あたりの基準価額が当月1万円、翌月1万3000円、翌々月1万2000円の投資信託を積み立てた場合、平均買付単価はいわゆる一般的な算術平均(対象となるデータ値を足してデータ数で割る)の1万1667円ではなく、1万1527円になります。

調和平均には、算術平均よりも値が小さくなるという特徴があるほか、データ数が多くても、そのデータ群の散らばり度合によっては、一定の値に収束するという性質があります。投資信託の基準価額は不規則に変動するため、購入回数を増やしても、平均買付単価にさほど影響が表れないのです。

「毎日積立」を選ぶこと自体を否定はしませんが、投資効果に過度な期待をしないこと。あくまでも、「気持ちの問題」程度に思っておいたほうがよいでしょう。