各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のデータをもとに解説。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投信売れ筋ランキングの2025年7月のトップは「インベスコ 世界厳選株式オープン為替ヘッジなし(毎月決算型)」(愛称:世界のベスト)、第2位は「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」で前月と変わらなかった。第3位には「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」、第4位に「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」がランクインした。前月は第3位だった「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」は第5位に後退。「eMAXIS Slimバランス(8資産均等)」と「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)はトップ5圏外に落ちた。
日米株式ファンドの動向、8月も好調続くか
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の売れ筋ランキングのトップ5に入っている株式ファンドの基準価額(分配金込み)の推移を2025年1月から7月までで比較すると、トップを継続する「インベスコ 世界厳選株式オープン為替ヘッジなし(毎月決算型)」(愛称:世界のベスト)が安定的に他のファンドをアウトパフォームする動きになっている。特に、4月上旬に米国が「相互関税」を発表したことをきっかけに、米国株式市場をはじめ世界の株式市場が大きく下落した際に、「世界のベスト」の下落率がインデックスファンド等と比較して小さかったことが、その後のパフォーマンスに決定的な影響を与えている。
「世界のベスト」と比較すると「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」は4月の下落時の下落率が大きく、一方で、その後の戻り局面ではインデックスファンドを上回る上昇率になっており、市場の変化にメリハリのある反応をしている。同ファンドは世界の市場に上場している株式を投資対象とし、フィデリティのグローバル調査体制を活用して企業の成長性や業績に対する株価の割安度に着目して銘柄を厳選している。2025年6月末時点の組み入れ銘柄数は85銘柄。組入上位にはエヌビディア、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アマゾン、アップル、ブロードコムなど米国の大手テクノロジー企業が並ぶ。
一方、全世界株指数に連動する「オルカン」と日経平均株価に連動する「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」は、2025年の基準価額の推移が似通っている。この運用成績に対して国内株ファンドに対する投資家の人気は低かったが、いよいよ8月になって日経平均株価も2024年7月に記録した史上最高値を更新した。インデックスファンドの中では7月の売れ筋ナンバーワンになった「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」の人気が8月以降も継続するか注目したい。