まさか自分が公務員に⁉ 浮上した新しい可能性

窓口に何度か通ううち、シニアコーナーの担当者と親しくなり、そのうち「こんな案件があるんだけど、受けてみませんか?」とKさんに合った案件を教えてくれるようになりました。

しかし、ある時教えてもらった案件の詳細を聞いて、Kさんは耳を疑います。なぜならそれが「公務員の臨時募集」だったからです。

担当者いわく、東京都の公務員(会計年度任用職員)募集は定期的に行われているもので、ちょうどKさんに向いていそうな案件だったため紹介してくれたと言います。Kさんは公務員の募集が行われていることも、まして定年後の自分が応募できることも知りませんでした。

「定年後の女性で、しかも中小企業で働いていた自分が公務員に……?」

なんとも不思議な気持ちでしたが、担当者から言われた「募集条件を満たす人なら、年齢、性別、職歴なんて関係ないですよ」という言葉がまるで天の声のように聞こえ、導かれるように応募を進めていきました。

いざ応募して面接へ! 結果は…

職業訓練校で職務経歴書の書き方も教えてもらっていたので、その点Kさんは安心して応募を進められました。面接も特別難しいものとは感じず、過去に会社でこなした仕事や、職業訓練校で学んだことを分かりやすく話すように心がけ、手ごたえすら感じました。

その結果は、見事採用でした。Kさんの契約は1年契約ですが、仕事によっては終了後も継続契約につながります。また継続の案件でなくても、在籍しているうちに他部署での求人に目を光らせておくと、在籍中の応募が可能です。

もちろん試験は公平に行われますが、役所で働いた経験や、役所のルールを理解していることなどもアピールできるので、採用側にも魅力を感じてもらえるのではないでしょうか。

採用されたKさんは、その後役所で生き生きと仕事をこなし、それから1年契約を終了する前に、他部署へ応募しました。その結果、公募によらない再任用契約のある部署で現在も働いています。

Kさんは事務処理能力も高いことが評価され、「これからもぜひ働いてほしい」と今後の活躍にも期待されているようです。