突然訪れた退職の機会

こうしてKさんなりに準備を始めていた頃、思いもよらないことに、会社を辞めなければならない状況に置かれます。経営者が交代することになったのです。

長く勤めた会社だけにKさんは大いに悩みましたが、「これもいい機会ではないか」と考え、退職を決意しました。この時、Kさんは61歳。特別支給の老齢厚生年金受給が始まって2カ月目のことでした。

突然ではありましたが、定年後のキャリアについては心の準備はできていたので、それほど狼狽えることはありませんでした。とはいえ、具体的な未来が描けていたわけではなかったので、完全には不安を拭えなかったのも事実です。

ハローワークから始まった再出発への道のり

会社を退職してから、まずは失業手当のことを相談しようと、地元のハローワークに向かいました。

Kさんはそこで、就業促進のためにさまざまな職業訓練が無料で提供されていることに驚きます。訓練の内容は多種多様。総務人事関係、経理関係、IT関係など、いずれも就職に有利に働く訓練で、好きなコースを選べるのです。

さらに、この訓練は3~6カ月コースで本格的に学べて、受講料は無料(テキスト代は実費)であることも魅力でした。講師はその道の専門家が外部から派遣され、指導も大変熱心。受講期間中は雇用保険に加え交通費も支給されるらしく、至り尽くせりの制度だと思いました。

こうして職業訓練の内容に魅力を感じたKさんは、早速総務人事関係のコースを選択します。まずは学びながら再就職のチャンスを待つことにしました。もちろん、ただ待つだけではなく、職業訓練校で受講をしながらハローワークに通い、応募案件を調べ、良い案件があれば積極的に相談員に話を聞きながら就活を行いました。

しかし、多くの会社に応募をしてみるものの、書類選考で落とされてしまい、全くうまくいきません。この時、応募件数は既に20を超えていました。

「やはり定年の年齢になっての就職は、うわさ通り厳しいんだ……」と気持ちが落ち込んでいた時、Kさんは自身に立ちはだかった壁を打ち破る“ある有益な情報”を入手します。

●Kさんに希望を与えた情報とは一体何なのか? 続きは、後編【「まさか自分が⁉」再就職を目指す女性が見つけた“全く新しい選択肢”】で解説します。