サラリーマンにとって、55歳・60歳・65歳は、役職定年・定年・再雇用のタイミングにあたり、今後を考える節目となる年齢です。そこでどのように考え、何を選択するかでセカンドキャリアは大きく変わります。

選ぶべき道は、今まで歩んできた延長線上なのか、それとも今までとはまったく異なる世界なのか? 今回はまったく異なる世界に進んだ、金融業界で43年間働いたサラリーマンMさんの事例をご紹介します。

金融業界で働いてきたMさんの場合

Mさんは大卒で信託銀行に入社、資産運用を中心に55歳まで本社で働きました。55歳からは子会社に出向しますが、58歳から再び本社に戻り、資産運用の教育に携わっていました。

専門分野の仕事を順調にこなしてきた一方で、58歳で定年をひかえ、退職後のことを意識しては次第に思い悩むようになりました。

「こんなことでいいのだろうか。もっと違う道があるのでないか」

そんな折、出張先で偶然手にした雑誌の記事に目を奪われました。経済コラムニストの大江英樹さんの記事で、「定年後は好きなことをするのが大切。そのためにサラリーマンを卒業し、個人事業主で伸び伸びやりましょう」という趣旨でした。

Mさんは「この人はなぜ自分の気持ちが分かるんだ!」と感じました。金融業界一筋で働いてきたMさんにとって、サラリーマンを卒業するという考えは目から鱗でしたが、早速大江さんのセミナーを探して参加し、自分の思いに向き合うことに決めました。

セミナーに参加してからは、定年後は好きなことをやっていきたいという気持ちが固まりました。しかし、次は「自分にとっての“好きなこと”とは何なのだろう……」という悩みに直面します。

「誰かにこの何とも言えない思いを聞いてもらいたい」と思った時、ふと頭に浮かんだのは高校時代の先輩でした。