新NISAを使った30年後、使わなかった30年後

ここまで新NISAを使うメリットを説明しましたが、最後に、預金のみで30年過ごす場合、新NISAを30年間使って過ごす場合をそれぞれシミュレーションをしてみます。前提は以下の通りです。

●毎年の初めに60万円積み立てるものとして計算
●平均月5万円×30年のペースで新NISAの投資枠1800万円を埋めるものとする

預金の場合

まず、積立金を全額預金した場合。現在、大手銀行の普通預金利率は0.001%です。

60万円を預金すると、1年後の利息は6円。そして預金を続けて30年後、元本1800万円から得られる利息は2790円になります。少々悲しくなりますが、預金は「安全に預けること」が目的なので仕方がないとも言えるでしょう。

新NISAの場合

では、新NISAを使った場合はどうなるか。本記事では、資産増加率を毎年4%として計算します。

<資産増加率を毎年4%と仮定する理由>

「毎年4%増えるって、投資に夢を⾒すぎじゃないの?」と思われる方のために、例として⽶国の優良企業 500 社からなる指数「S&P500」から検証してみましょう。

S&P500のリターンは、2022年までの10年間で平均14.8%。直近ではコロナショックなどで下がっているものの、5年平均で10.8%、3年平均でも9.0%が得られています。

S&P500(3年平均)の半分以下と考えると、「資産増加率4%」という前提はむしろ保守的とも言えるかもしれません。

※過去のデータを参考にした筆者の予想であり、資産増加率を保証するものではありません

リターン4%の場合、元本60万円は1年後に62万4000円となります。2年目も60万円を積み立てますが、元本は120万円ではありません。1年間で増えた2万4000円も乗ってくるため、あわせて122万4000円がベースです。

これを繰り返すと、なんと30年後には3499万7001円まで膨れ上がります。もちろん、元本から増えた約1700万円分に対し、税金は1円もかかりません。

投資にはリスクがあり、「確実に年間4%増やせる」とは言い切れません。しかし、シミュレーション通りに資産が増えたと仮定すれば、節税額は

●約1700万円×20.315%=約345万円

つまり、本来払うべき345万円の税金が完全にゼロになるのです。

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一生涯、元本1800万円分もの税制メリットが受けられる新NISA。少額からでもコツコツ積み上げることで絶大な効果を発揮します。月々無理のない金額で、長期の投資プランを考えてみてはいかがでしょうか。

※試算した数値はシミュレーションであり成果を約束するものではありません
※シミュレーションにおける数値は、預金利息にかかる税金や、投資にかかる手数料を考慮していません