負担が大きすぎる実家の手入れ
結局、私が実家と預金500万円、弟が金融資産2000万円を引き継ぐことで分割協議はあっさりまとまりました。妻には「本当にいいの?」と念を押されましたが、「いざとなったら売ればいいんだから」と押し切りました。
人が住まなくなった家は傷みやすいというので、月に1度、単身赴任先から帰京する度に妻や子供たちと実家に足を運び、庭の手入れをしたり、家に風を通して要らない物を片付けたりしていました。それもまた、家族にとって楽しい時間でした。いえ、少なくとも、私の目にはそう映っていたのです。
しかし、幸せな時間はそう長くは続きませんでした。
子供たちが高校生や大学生となると実家通いに同行するのを嫌がるようになり、しかも、私が札幌に赴任した半年後に新型コロナウイルスのパンデミックが勃発。ほとんど帰京できない状態が続きました。
妻にとって1人で実家のメンテナンスをするのは、苦行以外の何物でもなかったようです。久しぶりに帰京した際に、「これ以上は無理だから、売れるうちに売ってほしい」と妻から懇願されました。
さらに、ここでもう1つ大きな問題が浮き彫りになってきました。実家の固定資産税です。毎年何十万円という固定資産税が、気づいた頃には我が家の家計を圧迫していたのでした。
●妻に迫られ実家の売却を画策するも、予想外の「大敵」が現れて――。続きは後編【実家が「不良債権」になる悲惨な末路…売却を阻んだ“予想外の強敵”】で紹介します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。