親の「思い」を知るために有効な手段

親に多くの情報を共有してもらう“手段”についてもご紹介しましょう。

親に「思い」を一通りまとめておいてもらうことは非常に有効です。具体的に言えば、エンディングノートのようなものや遺言を作成してもらうのがよいでしょう。

相続では遺言がなければ、相続人同士で遺産分割する必要があります。親の財産の相続がすみやかに進むよう、親には遺言を作成してもらうのがベストと言えます。ただ、遺言にも難点はあって、それは遺言の内容を事前に共有してもらうのは難しい可能性もあること。その場合は、子は親の財産の「事実」をできるだけ多く把握できるよう努めます。

親の財産の「事実」において、親が不動産を持っている、あるいは会社経営者で自社株式を持っているといった場合は要注意です。不動産や自社株式は“分けにくい”財産の代表格で、遺産分割にモメ事が生じやすいのです。不動産や自社株式は分けづらい財産として区分し、親は分けにくい財産をどのように相続させたいと思っているか、子が親の思いを聞くことができるとよいでしょう。

“分けにくい財産”がありそうだと分かったら、同時に“分けやすい”資産をどう確保するか、その方法を考えていかなければなりません。分けやすい資産の代表格は生命保険であり、具体策としては生命保険契約の保険金受取人の変更などが挙げられます。この「分けやすい資産の確保のしかた」も重要なテーマですので、当連載で今後あらためて解説したいと思います。

相続というと、相続税を心配される方も多いかもしれません。しかし、それよりも優先すべきは財産(遺産)の把握と分け方であり、そこにも戦略を立てて対策していくことが欠かせません。

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家族がモメることは望む親はいません。そのためにも、親の財産を守り受け継ぐ戦略作りに必要な準備を、50歳代のミドル世代は気にかけていただきたいと思います。

「なんとなく先送り」ではなく、まずは「話をしてみること」から待ったなしでチャレンジしてください。

 

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