株価急落→SNSに“トンデモ言説”が続出、もはや風物詩
「マジで終わりました」
「(NISAなどで)投資を勧めた政府には怒り」
「NISAで買った銘柄を全部損切り」
「投資は悪」
トランプ米大統領の関税政策によって、4月に入ってからのマーケットは、株価も為替相場も乱高下を繰り返しています。米国現地時間の2日に、「相互関税」が発表されたことを受けた3日の日経平均の終値は、前日比990円安、4日は955円安というように、2日合わせて1945円の下落。とはいえ、ここまでは多くの市場参加者も、何とか持ちこたえられたようですが、週明け月曜日、7日の株式市場で、日経平均株価は前週末比2644円の大幅安となりました。
この急落を見て、昨年8月5日の急落を想起した人も少なくなかったでしょう。この時も週明け月曜日で、前週末比4451円安の大幅安でした。
NISAの制度見直しが行われた2024年1月から投資を始めた人にとって今回の急落は、はしごを外されたような感があるのかも知れません。
2024年1月の日経平均株価は3万3193円からスタートし、同年7月11日には4万2426円の最高値を更新しました。この間、恐らく多くの人が、「ああ、株式投資をしておいて良かった」と思ったことでしょう。
そしてその直後、8月5日に前述した株価急落があったものの、すぐにリバウンドし、2024年12月末の日経平均株価は、3万9894円まで回復したので、ひと安心された方は少なくなかったはずです。
ところが、今年に入ってから株価は下落の一途をたどり、4月7日の急落となりました。この日の最安値が3万792円でしたから2024年1月からNISA口座で日本株に投資していた人たちの大半は、含み損を抱えています。
もちろん損失を被っているのは、日本株に投資している人たちだけではありません。インデックスファンドを通じて、S&P500やオール・カントリーといった海外の株価指数に投資した人たちもまた、それなりに含み損を抱えていることでしょう。
特に海外市場に投資する場合、為替相場も影響してきます。昨年7月3日には1米ドル=161円、今年1月10日には1米ドル=158円という水準があったので、4月17日時点の1米ドル=141円台で為替差損を被っている人もいるはずです。
投資を続けていると、このような株価の急落には必ず直面します。そこで大事なのは、急落に直面した時、SNSとはやや距離を置くことです。
冒頭で取り上げたような、ネガティブな投稿を見て不安に駆られても、何のプラスにもなりません。そもそも書いている本人が、本当に悲惨な状況になっているのかどうかさえ、怪しいものです。自分の口座の中身をさらして、どれだけ損失を被ったのかを示したうえで書き込むなら、まだ多少なりとも信ぴょう性が出るかもしれませんが、それを一切せずに、「マジで終わった」、「損切りした」などと言われても、ソースとしてさほど信用できません。相手にするだけ時間の無駄というものでしょう。
特に「NISAで買った銘柄を全部損切り」と投稿している人もいましたが、そもそもNISAは長期で投資し続けて成果を得るための制度です。たまたま今回の急落に直面したからといって損切りするのは、NISAの本来の使い方を間違えていると言わざるを得ないでしょう。損失を被ることへの耐性を持ち合わせていない人は、“投資をするのには早い”のかもしれません。
また、「NISAで買った銘柄を全部損切り」という投稿を目にして、「私もそうしよう」などと、ほんの少しでも思った人も、同様かもしれません。投資判断はSNSの投稿に盲従するようなものではなく、あくまでも自分で考えて下すものだからです。