「政府が投資を勧めた」も怒りの矛先がズレている…

「投資を勧めた政府には怒り」という人も、「何だかな……」という感じです。「投資を勧めた政府」とおっしゃいますが、政府職員が“どぶ板営業”を行って、国民一人ひとりに投資を勧めて回ったわけではありません。

確かに、NISAや確定拠出年金のような、投資することで税制メリットを享受できる制度を作ったのは政府ですが、投資することを強制はしていません。最終的に投資することを選んだのは、その人自身であるわけですから、政府に怒りを覚えるのは“逆恨み”というものでしょう。

また、「投資は悪」とおっしゃるなら、資本主義体制の国で暮らしている、ということを思い出していただいたほうがいいでしょう。

日本で生活する以上、投資と無縁ではいられません。上場企業に勤務しているのであればなおのことです。上場企業は株式を介して事業資金を調達し、成長していきます。上場企業で働き、給料を得られているのは、その企業の株式に投資してくれている投資家がいるからです。

また、皆さんの老後生活を支えてくれる年金も、積立金の一部は株式で運用されています。現役世代が納めた年金保険料のうち、年金受給者への年金支払いなどに充てられなかったお金は、年金積立金として運用されています。それを運用しているのが「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」ですが、そのポートフォリオの50%前後は、国内外の株式で運用されていますし、日本の大学も自主財源を確保するため、株式などで寄付金運用を行っています。

このように資本主義である以上、私たちの生活はどこかで株式などの投資と紐(ひも)づいていいます。それを「悪」というならば、日本経済も私たちの生活も成り立ちません。