第3回では(「まさか我が家が…」相続争いに陥る家族の“意外な共通点”)、遺言が必要な家族の特徴や、親と遺言作成を進めるコツについて解説しました。

今回は、親亡きあとの自宅の行方をどうするのか、親の生前に家族で話し合う必要性について説明していきます。

兄弟姉妹の考えを整理する

親の死後に相続人同士で問題が起きやすいのが、明確な分割が難しい不動産の相続です。また、昨今は空き家の増加も問題となっています。親が自宅を所有しているのであれば、家族で「親亡き後の自宅」をどうするか事前に話し合っておくと、不要なトラブルを防ぐことができるでしょう。

子が複数いる場合、兄弟姉妹で「将来自宅に住みたいと思っているか」をそれぞれに確認します。自宅に住みたいと思う子がいれば、その人が自宅を相続することになります。

ただし、相続する自宅は「流動化できない資産」となり、親の老後生活に必要な資金を捻出するために活用できなくなることに注意してください。この場合は、親の老後資金を親の資産だけで賄わなければいけないため、今後のキャッシュフローを考えることが必須です。

反対に、自宅に住みたい子どもがいない場合は、将来的に自宅を流動化して親の老後資金の一部に充てることができます。