みずほ銀行の投信売れ筋ランキングの2025年3月は、トップ4は2024年11月から5カ月連続で同じだった。トップは「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」、第2位以下は「キャピタル世界株式ファンド」、「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカ ICA」、「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(愛称:未来の世界)」だった。前月第5位だった「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカ ICA年2回決算(分配重視)」が第7位に後退し、前月第6位だった「キャピタル世界株式ファンド年2回決算(分配重視)」が第5位に、第7位だった「netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし)」が第6位に上がった。

 

 ◆トップを独走するファンドの強み発揮

みずほ銀行の売れ筋は顔ぶれが固まっていて順位の変動も少ない。トップの「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」は2024年4月から1年間にわたってトップをキープし、「キャピタル世界株式ファンド」、「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカ ICA」も常に売れ筋トップ10の上位に位置付けられるファンドだ。中長期の資産形成を目的として厳選されたファンドだからこそ、市場が大きく変動しても売れ筋には目立った変化が表れないということなのだろう。

3月は米トランプ政権の大規模な関税策の発表を控えて世界の株式市場がその内容を見極めようと動きが鈍った1カ月間になった。代表的な株価指数の3月の1カ月間の動きは、米「S&P500」が5.75%安、日本の「日経225」が4.14%安と比較的下げ幅が大きくなり、英「FTSE100」は2.58%安、独「DAX」は1.72%安、中国「上海総合」は0.45%高という状況だった。そして、4月2日にトランプ大統領によって発表された「相互関税」の内容が市場の予想を大きく上回る高い関税率だったために、4月3日以降に世界の株式市場は一段と下落するという展開になった。また、米国が貿易の不均衡を強調しているためか、外為市場ではドル安が進んでいる。国内から外国株式に投資している投資家は主に「為替ヘッジなし」のコースを選択しているため、株安とドル安のダブルでマイナスの影響をうけることになった。

米「S&P500」が史上最高値になった2月19日を起点として4月15日までの「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」とみずほ銀行の売れ筋上位3銘柄の基準価額の推移を追ってみると、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」はピークから一貫して下落基調となり、3月末時点ではピークから10%程度の下落となった。これに対して、「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」は3月末時点で2月19日比2.34%マイナスと「S&P500」と比べて圧倒的に強い下値抵抗力を示した。「キャピタル世界株式ファンド」、「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカ ICA」も下落率は10%程度ながら「S&P500」よりもやや下落率を抑制することができた。

また、関税策が発表された後で大きく株価が下落した4月9日時点で「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の下落率は22.19%に達したが、この時点でも「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」は7.30%の下落率にとどまっている。その4月9日にトランプ大統領が相互関税について国別関税の発効を90日間猶予すると発表したため株価は戻った。4月15日時点では「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がピーク比16.59%安。「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」は5.18%安、「キャピタル世界株式ファンド」は15.90%安、「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカ ICA」は16.50%安という水準だった。誰もが主力ファンドと位置付けていた「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が20%以上も下落する中で1ケタ台の下落率にとどまった「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」の動きは改めて評価を高めたのではないだろうか。

 

もっとも、下落時に強いことも大事だが、上昇時にも納得のいく運用成績が得られることが望ましい。「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」は2025年3月末時点で1年間のトータルリターンが5.34%だった。これは、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の6.03%をやや下回る。「キャピタル世界株式ファンド」は3.66%とさらにパフォーマンスは悪い。一方、「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカ ICA」は7.22%で「S&P500」を上回っている。このようにみていくと、みずほ銀行で売れ筋トップ3のファンドの特徴がおぼろげにでも見えてくる。資産形成は20年、30年という長丁場だ。市場環境は良い時もあれば悪い時もある。投資対象としたファンドの値動きの特徴を理解して付き合っていきたい。