商品の知識を広げ、投資先の「引き出し」を増やす

また、もう少し別の視点で考えると、インデックスファンドというのは、それ自体が広く分散されたものであるから、似た値動きのインデックスファンドを複数本保有することは「どっちつかず」の中途半端な投資行動とも言える。例えるなら、幕ノ内弁当と松花堂弁当を両方買うようなイメージだろうか。資産分散の観点では、前述した「全米株式」と「高配当株式」のように、同じ「弁当」でも中身が異なるものを用意したほうがよい。

そして、②の個別株に挑戦したいというケースもやはり、アップルやテスラといった指数構成比率の高い銘柄を、あえて個別株で上乗せしなくてもよいのではないかというのが筆者の見解である。またしても弁当の例えで恐縮だが、鮭が主役の鮭弁当に追加で鮭をトッピングするようなイメージか。個別株投資でさらなるリターンを追求したいなら、代表的な指数に組み入れられていない(あるいは構成比率が極めて小さい)銘柄か、または、すぐに個別銘柄が思い浮かばないなら、海外ETFで興味のあるテーマや業種を絞るところから挑戦してもよいだろう。

最後に、上記の回答に追加でアドバイスをするなら、日ごろから意識して投資先の「引き出し」を増やしておくことをおすすめしたい。資産運用を行う過程では、さまざまな決断を迫られる。それは必ずしもマーケットに関連するものだけでなく、自身のライフプランに関する内容も含まれる。特定の資産や投資先に対して思い入れを持つことは決して悪いことではないが、投資家としての対応力を磨くには、運用方法や投資対象に関係なく、商品の知識を広げておくことが重要だ。