基準価額が半値になってもリターンを得られる積立の効果

なお、この例でもう1点注目したいのは、基準価額が「戻り切らない」状態でもBの積立投資ではリターンが出ているということだ。1万円でスタートした基準価額は最終的に5,000円までしか回復しておらず、一括投資のケースAのリターンはマイナスに沈んでいる。開始時の基準価額から半値まで下落してしまうと、さすがの積立でもリターン獲得の期待は薄いかと思いきや、ケースBは33.3%もプラスになっている。

このように最終リターンに80ポイント以上の差が出たのは、言うまでもなく、基準価額が2,000円まで急落したときも積立を止めずに買付を継続していたからだ。これこそが、市場の先行き見通しが立てにくい中で積立投資を行うメリットである。

今回紹介した例のように、満を持して積立を始めた直後に基準価額が急落するというケースは決して珍しくない。実際に昨年のコロナショックでは、主要株式市場が直近の高値から約1カ月の間に30~40%ほど下落した。

このように、株式市場が急落すると、心理的な不安が先に立ってしまい、安くなったところで買い増しをしたほうがよいと分かっていてもなかなか行動に移せなくなる。投信積立のメリットは、こうした「感情」をいっさい排除できる点にもある。

「思い立ったときが始めどき」。気持ちも新たに、年度初めこそ資産形成の第一歩として、投信積立にチャレンジしてほしい。