金融庁が今年2月に公表したデータによると、つみたてNISA(少額投資非課税制度)の口座数が昨年2020年末時点で300万を突破し、過去1年間で1.6倍に増えたという。筆者が所属する楽天証券でも、足元1年の間につみたてNISAの口座開設数が急増し、2月末時点で前年同期比約2倍の109万口座に到達した。
この背景としては、世界的な株高傾向や「老後資金2000万円問題」などさまざまな要因が推察されるが、コロナ禍がきっかけとなり、自身のライフプラン、そしてマネープランに本格的に向き合う人が増えた可能性は高い。
積立投資なら、高値圏から始めても利益を期待できる
読者の中には、年度の変わり目を迎えた今、まさにつみたてNISAや投信積立を始めようと考えている人も多いのではないだろうか。一方で、日経平均株価が3万円台前後まで回復する中、足元の株式市場がバブル状態なのではないかと懸念している人もいるだろう。そもそも積立投資を始めるのに適切なタイミングというのはあるのだろうか。
最初に答えを言ってしまうと、「ない」。より正確には、積立を始める時期について、あまり神経質になる必要はない。というのも、積立投資なら、基準価額が高値圏にあるときから開始した場合でも、利益を期待できる可能性があるからだ。
ここからは実際に例を挙げて解説していく。
投資元本5万円を基準価額1万円で一括投資した場合をケースAとし、投資元本5万円を毎月1万円ずつ5カ月にわたって積み立てていった場合をケースBとしよう。通常、投資信託の基準価額は1万口あたりの値段を指すので、基準価額が1万円だと、1万円の購入金額で1万口分を購入できることになる。
ケースAの場合、基準価額1万円のときに5万円分を購入しているので、総買付口数は5万口となる。他方、ケースBの場合、積み立てで毎月購入していく形になるので、総買付口数は都度変わる。
基準価額が安くなったときのほうが、より多くの口数を購入できるということがお分かりいただけるだろうか。
ケースBは、積立を開始直後に基準価額が急落したものの、結果的にケースAを大幅に上回る13万3,333口もの口数を購入できた。これは、たとえるなら、「スーパーで売っているパックのお肉」のイメージそのものである。「100グラムあたり○○円」として売られているパック肉と同じように、口数あたりの値段が下がると、投資信託もよりお得に購入できる。
そして、そのお得に購入できた分が、後々積立効果を発揮するのである。最終的な評価額は、ケースAが2万5,000円(50,000口×5,000円÷10,000)、ケースBが6万6,667円(133,333口×5,000円÷10,000)。よってリターンは、ケースAが-50%、ケースBは+33.3%となる。