「妹たちに見せたら、納得してくれたんだ」
さて、高雄さんからSNSでメッセージをもらった後、私はすぐ彼に会い、話を聞いた。高雄さんが言うには、私のアドバイスによって事態が鎮静化した、あっけないほど早かったという。
「特別受益の件を解説したWEBサイトを印刷して、妹たちに見せたら、納得してくれたんだ」と、高雄さんはほくほく顔で私に言った。
私が「ご兄妹との関係性は大丈夫なんでしょうか……」と聞くと、彼はあっけらかんとした表情で「いやー、これはもうだめだと思う(笑)もう一生家族と会うこともないかもしれんわー(笑)」との返答だった。
「時が解決することもあるかもしれません」と私が言うと、「そうだよねー! 遺言書がないから揉めてもしょうがないよね」と、まるで他人事のように明るく答えるのだった。
高雄さんの兄妹もちろん納得していないだろうが、高雄さんと交渉しても埒が明かないと思い、諦めたのだろう。
遺言書で回避できた未来がある
兄弟間において特定の子や孫が特別に親からの支援を受けている場合は注意が必要だ。
こうしたケースの多くは相続における「爆弾」となって現れてくる。
私は今回の経験を踏まえ読者諸兄に伝えたい。
兄弟の中で親から強く支援を受けたものがいる場合、必ず遺言書を残しておくべきだ。どんな理由があっても必ずだ。
そして、その中で遺産の分け方について触れておくべきだろう。そうすることで、少しでも相続争いを回避できる可能性が高くなるはずだ。仮に争いが回避できなかったとしてもその影響をより小さなものとすることができるはずだ。
もしも、今回政男さんが遺言書を残していたのなら、きっと高雄さんと高子さんと大貴さんは今でも多少思うところがあれど、一般的な兄妹として仲良くいられたはずだ。
重要なことなので最後にもう一度繰り返しておこう。兄弟間で親から特に支援を受けたものがいれば必ず遺言書を作り、相続について触れておくべきだ。
そうすることが家族を守ることにつながるのだから。
※本記事に登場する人物の名前はすべて仮名です。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。
