ひきこもり兄、高齢の母…弟が迎えた限界
智樹さんは、今まで兄のことを親に任せきりにした結果、思わしくない方向に進んでしまったと責任を感じているのかもしれません。「自分が何とかしなければ」ともがいているようにも感じられました。
しかし、智樹さん一人で解決するには限界があります。そこで筆者は言いました。
「智樹さん一人ですべてを抱え込む必要はないと思います。世の中には様々な支援者がいますから、助けを借りることも検討してみてください。例えば次のようなものがあります」
・貯蓄がなく、収入も少ないので生活に困った⇒市区町村役場で生活保護の相談
・母に介護が必要になった⇒まずは地域包括支援センターに相談
・兄に日常生活の支援が必要になった⇒市区町村役場でホームヘルプサービス(精神障害者の方の日常生活支援)の相談
・ホームヘルプサービスの手続きを手伝ってほしい⇒特定相談支援事業所に相談
・どこに相談したらよいのか分からない⇒まずは市区町村役場のひきこもり相談窓口で相談。その後、必要な支援先につないでもらう
「私は社会保険労務士なので障害年金についてはご協力ができますが、裏を返せば、それ以外のことについてはほとんどお役に立てません。一人の人間ができることなんてたかが知れています。『それぞれの専門家に力を借りて何とかしてみよう』というくらいで丁度よいのかもしれません」
「確かにそうですよね。『私一人しかいない。私が解決しなければならない』というプレッシャーで、視野が狭くなっていたようです。まずは支援先を調べるところから始めようと思います。おかげで少しだけ心が軽くなりました。本日はご相談にのっていただき、どうもありがとうございました」
そう答える智樹さんの表情は幾分和らいでいるように見えました。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。
