400万円が一括で受け取れる可能性が浮上
「もし兄が障害認定日による請求が認められたら、どのくらいの金額になるのでしょうか?」
「初回に過去5年分の約400万円が一括で振り込まれます。その後は偶数月の15日に2か月分の約14万9500円が振り込まれ続けます」
「400万円! でも、税金もかなりの額になってしまいそうです」
「税金はかかりません。大丈夫です。障害基礎年金および障害年金生活者支援給付金は非課税だからです」
「安心しました。それで結局のところ、兄は障害基礎年金が受給できそうでしょうか?」
「お兄様が障害基礎年金を受給できるかどうかは、医師の作成する診断書とご家族または代理人が作成する病歴就労状況等申立書という書類の記載内容で判断されます。お兄様はコミュニケーションが苦手ということなので、障害認定日当時や現在の日常生活の困難さが医師にしっかりと伝わっていないかもしれません。そうなると、診断書が軽めの記載になってしまう可能性もあり得ます」
すると智樹さんは不安そうな声をあげました。
「では一体どうすればよいのでしょうか?」
「お兄様の日常生活の困難さをまとめた文書を作成し、医師にご覧いただく方法をとってみます。発達障害は生まれつきの脳の障害であり、症状はほとんど変わらないことも多いです。よって、お兄様は障害認定日当時も現在も同じような困難さを抱えていることでしょう。お兄様の同意が得られれば、私も文書作成のご協力をすることができます」
「ぜひお願いしたいです。まずは兄と母に事情を話し、同意を得るところから始めます」
面談後、兄から同意が得られ、筆者はさっそく文書を作成しました。智樹さんが兄の受診に同席し、医師に事情を説明。障害認定日当時と現在の障害状態を医師とすり合わせ、診断書の作成を依頼しました。
その間に筆者は必要な書類をそろえ、診断書を入手した後は、すみやかに障害年金の請求を完了させました。
家族に新たな問題が発生
請求から3カ月がたった頃。智樹さんから「無事に障害認定日による請求が認められました」と連絡を受けました。
しかしその半年後、事態は急変。智樹さんから再び連絡があったのです。
「兄の件でちょっと困ったことになりまして……。もう一度ご相談させてください」
一体、何があったのでしょうか。
●50代で働けずひきこもる兄。弟の協力でなんとか障害年金を受給できるようになりました。こうして少しは生活が楽になると思われました矢先、「信じられない出来事」が起こります。家族が直面した新たな問題とは? 後編【「通帳とキャッシュカードを渡そうとしません」障害年金400万円を使い果たした50歳ひきこもり兄…管理を試みた弟が直面した限界】で詳説します。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。
