障害年金請求もできたが、8年近く放置の謎

そこまで確認できた筆者は、障害年金の説明をすることにしました。

智樹さんによると、兄が初めて精神科を受診したのは40歳頃。その時は国民年金に加入中でした。国民年金保険料は親が支払っており、父親が退職してから現在までは全額免除を利用してきたとのこと。年金の未納が多すぎることもないので、障害基礎年金を請求する権利は発生します。

障害基礎年金には1級と2級があり、仮に2級に該当した場合、金額は次のようになります。

障害基礎年金 6万9308円
障害年金生活者支援給付金 5450円
合計 7万4758円
※いずれも月額で2025年度の金額

(補足)
2026年度の金額は次の通り。いずれも月額。
障害基礎年金 7万608円
障害年金生活者支援給付金 5620円
合計 7万6228円

障害年金は初診日(初めてその障害で病院を受診した日)から1年6カ月が経過した日以降に請求ができます。

しかし、兄は現在50歳。初診から1年6カ月が経っても請求を行わず、その後も8年間近く放置してきたことになります。

不思議に思った筆者は智樹さんに理由を尋ねました。

家族が抱えていた事情とは

智樹さんによると生前の父親は兄に無関心。母親も「難しいことはよく分からない」と消極的で、智樹さん自身も仕事と子育てに忙しく、兄のことは母親に任せっきりだったそうです。兄本人も医師に言い出すことができず、時間だけが過ぎてしまいました。

智樹さんは不安そうに言いました。

「今からでも障害基礎年金の請求は間に合うでしょうか?」