夫婦の新たな決意

「そう、なんだ……でも、小学生と中学生じゃ事情がだいぶ違うでしょう。隆が抱えてる問題を解決できれば、普通の学校の方が……」

「気持ちは分かる。でも、不登校の一番の問題は、他人との関わりが減って社会から孤立することだよ」

「孤立……」

「そう。だから隆にも、無理に悩みを言わせるんじゃなくて、外とつながれる選択肢を作ってやれたらいいんじゃないかな。話せるまで待つしかないこともあるし、その間にできることって、案外ある気がする」

「だからフリースクールに……?」

「まあ、個人的には何でもいいと思うけどね。習い事だろうが、遊びだろうが。でも、近い境遇の友達ができるほうが、隆も安心できるだろうし」

夫の話を聞きながら、ひょっとすると学校へ行ってほしいという自分の価値観を知らないうちに押し付けていたのかもしれないと花枝は思った。強引に近づけば、隆はきっと離れていく。きっと今、隆は部屋の中で孤独に過ごしているはずだ。社会とのつながりが断たれ、自分でもどうしたらいいか分からなくなっているのかもしれない。ならば、大人として、母として、花枝がすべきことは隆が安心して過ごせるように場所を作ってやることだ。

「……ありがとう。私、少しほっとした」

「これから一緒に考えていこう。父親の俺にできることもあるはずだから」

「うん……うん」

花枝はうなずきながら、電話越しに夫と方針をすり合わせていった。

今すぐ隆が悩みを打ち明けられなくても、それを責めず、選択肢を差し出せる関わり方を考えようと、夫婦で静かに誓った夜だった。