本妻側との数年におよぶ争い
父親は生まれてくる由美子さんのことを考えていたのでしょう。加えて当時すでに高齢だったこともあり、自分が亡くなった後、相続をめぐって争いになることを危惧していたのかもしれません。実際に父親が亡くなると、その懸念は現実になりました。本妻側は、由美子さんに遺産を渡すことに大反対をしたのです。
言い分は、たとえば次のようなものでした。
「父を奪ったあげく子どもまで産むなんて、こちらは被害者ですよ!」
「結婚している父をたぶらかして私たちから父親を奪うなんて、私たちがどんなにさみしい思いをして育ったか」
「本妻の子どもは私たちだけです」
「母の悲しみを考えたことはあるのか、人の家庭を壊して財産が欲しいとはどういうことだ」など。
とにかく本妻と子どもたちの怒りが強く、由美子さんや母親が傷つくような言葉ばかりでした。数年かけて裁判になりましたが、最終的には父親に認知されていたことも踏まえ、由美子さんは相続人として扱われることが認められ、一定の遺産を受け取る形で決着となりました。
愛人関係にある立場は、法的な保証が乏しく、弱い立場に置かれがちです。気持ちが折れてしまうことも少なくありません。中には精神的に不調をきたす人も。子どもが生まれたら離婚して自分と結婚してくれると思う人もいますが、現実は厳しいのでしょう。法律が守ってくれると思っていても、思う以上に安心できないことがあります。
