父が亡くなり税理士から“ある提案”を受ける

その父が亡くなったのは、一昨年のことです。85歳でした。

父は晩婚で、40歳を過ぎてから母と結婚しています。母は当時20代で、2人は15歳の年齢差がありました。結婚した翌年に私が生まれ、その3年後に妹が生まれました。

父が亡くなった時点で母は70歳になったばかりだったこともあり、将来に備えて居住する自宅と金融資産の一部を母が受け継ぎ、残りを私と妹が折半することにしました。母は配偶者の税額軽減の特例(配偶者の相続は1億6000万円もしくは法定相続税分まで課税されない)が使え、母の分は非課税で相続をすることができたのです。

ただし、母が亡くなった時の2次相続では、この特例が使えなくなります。そこで、父の相続税の申告・納付を終え、相続登記などを済ませた後に税理士さんから、甥を母の養子にし、法定相続人を増やしておいたらどうかという提案を受けました。

甥はちょうど来年の4月から都内の私立小学校に入学する予定で、そのタイミングで養子縁組をすれば名字を変更することも抵抗がないだろうと妹夫婦と母の間で話が進んでいたようでした。

1年後、想定外のタイミングで母が他界

そうした最中に思いがけない出来事が起きました。特に持病もなく私たち以上に元気だった母が急死したのです。

一人暮らしの母は通いの家政婦さんをお願いしていましたが、夏の暑い朝、家政婦さんがなかなか起きてこない母を心配して寝室に行くと、母はベッドの中で冷たくなっていたそうです。

急性心疾患で本人はそれほど苦しまなかっただろうと聞きましたが、父母を相次いで亡くした私たち兄妹は大ショックでした。

高齢の父の死はある程度覚悟もしていましたが、母はまだ71歳、平均余命まで15年以上もあります。明るい性格で友人も多く活動的な母は長生きすると思っていましたし、父の相続を終えたばかりでもあり、相続税の圧縮に向けては対策らしい対策もしていませんでした。