税理士の指摘で発覚した新たな相続人の存在

現役で亡くなったため、夫の会社の方々が葬儀や書類の手配など手取り足取りサポートしてくれました。相続に関しても専門の税理士の方を紹介してもらえ、本当に助かりました。

夫の両親はかなり前に他界していたので、私はてっきり、夫の相続人は配偶者の自分だけかと思っていました。しかし、夫には年子の兄がおり、この兄にも夫の遺産の相続権があることが、税理士さんの指摘で分かりました。

生前の夫が言うところには、義兄は「ひたすら自分勝手に生きてきた人」。若い頃から海外を放浪するような生活を送っていたと聞きました。夫とは相性が悪く、恐らく何十年も顔を合わせていなかったはずです。

実際、義兄は私たちの結婚式はもちろん、義父や義母の葬式にも顔を見せませんでした。義両親の相続に際しては、署名した相続放棄の書類を送ってきただけだったようです。

そういう話を夫から聞かされていたので、税理士さんの指摘を受けても、義兄は今回も相続放棄をするだろうと楽観的に考えていました。

ですが、そんな目論見はまんまと外れました。義兄がいきなり私の自宅にやって来たのは、税理士さん経由で義兄の現住所を探し出し、夫が亡くなったことや相続の発生を知らせる手紙を出してから1週間ほどした後でした。

その夜はちょうど、郷里に住む私の姉が観劇のために上京し、私の様子を見るために立ち寄ってくれていました。後から振り返れば、あの時、姉がいてくれて本当に良かったと思います。