義姉も加わって攻撃開始

客間に荷物を置き春樹と2人で居間に入る。すると居間のコタツに義姉の愛香の姿もあった。

愛香は結婚をして家を出ているのだが、毎年正月になると帰省をしてくる。ただし愛香の夫は仕事があるということで正月の帰省に参加したことはほぼなかった。自分も正月返上で働けるような職場なら良かったなとこのときだけは思わずにはいられなかった。

「お義姉さん、お久しぶりです」

達子は頭を下げる。

「ああ、どうも。手に持ってるそれは何?」

「あ、これは近くのデパートで買ったメロンです。とても美味しそうだったので」

達子がそう言うと愛香は目を細める。

「いいわね~。そんな高そうなメロン、ウチじゃ買う余裕なんてないもの。春樹の稼ぎで悠々自適で羨ましいわ」

「そ、そうですね」

うまく笑えているのかは分からなかった。

このメロンは達子の給料から買ったものだがそんなことは口が裂けても言えない。そんなことをしたらさらに嫌味を言われるに決まっている。

それから達子はメロンを弥生に渡す。そして弥生と一緒にお茶を準備して、コタツに座った。

愛香と弥生はテレビでやっているワイドショーを見ながら文句を言っている。春樹はスマホを触ってそれに入ることはなく、達子もとにかく気配を消すことに終始していた。

やがてワイドショーの特集から景気の話になって、愛香は夫の給料が低いと嘆き出す。

「もうこれ以上下げられたらマジで生活なんてできなくなるわよ。これからどうしたらいいのよ~」

「春樹の会社はどうなのよ? 大変じゃないの?」

「うちはそういうの関係ないよ。生活に必要なものを扱ってるから」

春樹は電力会社に勤めている。だから景気の影響を受けることが少ない。

春樹の返事に弥生は嬉しそうに頷く。

「はぁ、そうなの。さすがよね。そんな大手企業で勤めてるなんてお母さん、鼻高々だわ~」

「ホントホント。ウチの旦那もあんたくらい優秀で稼いでくれてたら良かったのにさ~」

愛香も弥生に同調する。そして決まり切ったように、2人の刺すような視線が達子へと向く。