日本には、中国、台湾、韓国などにルーツを持ちながら暮らしている方々も少なくありません。そして在日の方の中には、特に在日の方同士での結婚を強く望むケースもあります。
結婚相談所には様々な国の方が登録されています。ところが、在日の方同士の結婚はそう簡単ではありません。登録する際、人種の記載欄はありませんから、国籍は日本と記載されることも多いのです。その場合、交際が始まってから「実は……」と告白されるケースもあります。逆に結婚話がある程度進んでから告白することもあり、そうなると話がまとまらなくなることもあります。この記事では、その事例を紹介していきましょう。
「自分たちのルーツを学んでほしい」
ヤスコさん(仮名)は現在40歳で、神奈川県の中都市に生まれました。父親が会社を経営していたこともあり、家庭は裕福。一人っ子だったので、小さい頃からスイミング、バレエ、ピアノと習い事をたくさんさせてもらい、塾にも通っていました。そのため学校での成績は常に上位で、自分の行きたい高校に進学できるほどでした。
ところが、高校に進学するタイミングで、父親から在日韓国人であることを告げられます。ヤスコさんは、自分は日本人だと思って生活をしてきたので、まさに寝耳に水でした。お父さんもお母さんも帰化していて苗字も日本の一般的な苗字です。家庭の中でも韓国の文化はなく、在日であることを知らされてもピンとこなかったそうです。
それでも両親から「韓国を知ってほしい、自分たちのルーツを学んできてほしい」と言われ、高校の時に初めて韓国に短期留学をしました。韓国の風土や文化に触れた時、あまりにも居心地が良かったので、自分の中にある韓国のルーツを自覚したそうです。自分には韓国が合っていると思ったヤスコさんは、本格的に韓国語を学ぶために、再び留学をしたのです。
韓国の文化や韓国語を学び帰国したヤスコさんですが、周囲からは珍しい存在と思われてしまったそうです。というのも留学というと、アメリカやカナダ、オーストラリアなどを選ぶ人が多いため、なぜ韓国?と思われたからです。そのような質問もたくさんあったのですが、自分が在日で韓国の文化がとても馴染みやすいとは言いにくく、韓国のアーティストのファンという理由にしていました。