肌着だけじゃない 主力は機能材料と医療材料、国内シェア有数

株主還元方針の前にまずは企業の概要を解説します。

グンゼは繊維やプラスチックの大手メーカーです。1896年に京都の何鹿(いかるが、現・京都府綾部市)郡で創業しました。繊維業が創業の地である何鹿郡の発展にかなうとの目的で、郡是製絲として誕生します。社名は1967年に現在のグンゼへ改めました。

グンゼは肌着メーカーとして有名で、売り上げの多くはアパレル事業が占めています。アパレル事業は「ザ グンゼ」や「ボディワイルド」、「アセドロン」などのブランドで主に肌着を製造・販売しています。また、「クラノスケ」などの小売りも事業範囲です。

もっとも、利益の柱は機能材料です。食品やトイレタリー製品向けの包装フィルムや、OA機器向けの転写ベルトやインク用ローラーカバー、半導体製造用のシートやフィルターなどを手掛けます。シュリンクラベル用フィルムは国内シェアの40%を握ります。

機能材料に次ぐ収益源は医療向け材料です。縫合糸や骨接合材、人工真皮などを製造または仕入れで販売します。生体吸収性材で競争力が高く、組織補強材は国内の90%、人工真皮は同40%のシェアを持ちます。近年は美容医療にも注力しており、レーザー機器なども販売しています。ほかに、スポーツクラブや商業施設の運営や不動産開発、工場やビル向けのエンジニアリングサービスも行っています。

【セグメント情報(25年3月期)】

グンゼのセグメント情報(25年3月期)
 
出所:グンゼ 有価証券報告書
 

一方、不採算事業の整理も進めています。例えば、電子部品事業からは24年に撤退しました。海外子会社を中心にタッチパネルを製造していましたが、構造改革の一環で売却します。また、包装や印刷向け機械などのメカトロ事業も売却の方針です。