毎月の費用負担も40万円を超え、焦りが募る
それだけではありません。年明け以降は「上乗せ」「横出し」と言われる保険外のサービスが増え、施設への支払いと合わせた毎月の費用が40万円を超えていました。
こんな状態がこれから何年も続いたら、たちまち父の蓄えは尽き、私が自分の貯蓄から穴埋めをしなければならなくなります。経済的に余裕があればいいですが、私は晩婚のため、ひとり息子は今年大学に入学したばかりでまだまだ教育費がかかりますし、住宅ローンも15年近く残っています。
このまま放置していくわけにはいかないと焦りを募らせましたが、介護業界に詳しいわけでもなく、業界関係者の知り合いがいるわけでもありません。
結局、最後の砦とばかりに頼ったのが、亡くなった母のケアマネジャーだった山内さんでした。
山内さんは私よりも10歳以上年下でしたが、ちゃきちゃきした姉御肌で、親が認知症という事実を前に思考停止した私を励まし、いろいろな介護の選択肢を示してくれました。
その頃は小学生と就学前のお子さんを抱えていたのに、福岡から出られない私の代わりにホームの人と細かいやりとりをしてくれるなど、本当にお世話になりました。
茶髪に原色のファッション好きで元ヤンという噂もありましたが、とにかく頭の回転が速い上に要領も良く、山積みされた仕事を矢継ぎ早に片づけていく姿を目の当たりにしていたので、「山内さんなら絶対に何とかしてくれる」と思ったのです。
●山内さんの調査により、信頼していたホームの衝撃的な実態が次々と明らかになります。石橋さんは父親を守るためにどのような行動に出たのか、そして問題は解決したのか――後編【月40万円超の介護費用に不信感…ケアマネの調査で判明した「老人ホームの闇」、娘が挑んだ父親の救出劇】で詳説します。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。