中期計画は下方修正も、長期計画は堅持 低収益の事業はどう改善?

業績の悪化を受け、中期経営計画も下方修正されました。2026年12月期までに営業利益で2300億円を目指す計画でしたが、1800億円へ引き下げています。その他の目標も、D/E比率(負債資本倍率)を除き下方修正されています。

【中期経営計画の主な財務目標(~2026年12月期)】

※EBITDA=営業利益+減価償却費

出所:AGC 決算短信
 

なお、2030年12月期までの長期目標(営業利益:3000 億円以上、戦略事業営業利益:60%以上、ROE:安定的に 10%以上、D/E 比率:0.5 以下)は維持されました。目標の到達に向け、AGCは資産規模に対し利益率が低い事業で収益性の改善に取り組み、各事業でROCE(営業資産営業利益率)10%を達成させます。

ROCE 10%へのかい離が比較的大きい事業はディスプレイ事業とエッセンシャルケミカルズ事業、そしてライフサイエンス事業です。うちディスプレイ事業は構造改革が進んでおり、2026年中に10%へ到達する見込みです。

エッセンシャルケミカルズ事業は、2025年に稼働のタイ増産設備で東南アジアの需要を取り込み、収益を改善させます。ライフサイエンス事業は、バイオ医薬品の受注開発生産で見積額を増額し、受注につなげることで遅くとも2027年以降の黒字化を計画します。

さらに、全社ベースでも価格政策と費用削減および構造改革に取り組みます。なお、生産能力増強の投資は2025年で一巡する見込みで、以降は投資の効果が発現する計画です。AGCは、これらの施策で収益性を向上し、株式市場での評価につなげたい考えです。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)