AGCはなんの会社? 三菱系ガラス大手 建築用・自動車用で世界シェア首位
まずは概要を解説します。
AGCはガラスを中心とした素材のサプライヤーです。三菱の二代目社長、岩崎彌之助(いわさき・やのすけ)の次男、岩崎俊彌(いわさき・としや)が1907年に創業しました。現在の社名AGCは2018年に旭硝子から変更したものです。祖業の建築用ガラスのほか、自動車用ガラスや電子機器用の超薄板ガラス、半導体製造に用いるEUV(極端紫外線)フォトマスクブランクスなどで世界トップクラスのシェアを握ります。
ガラス以外では、苛性ソーダや塩化ビニルといった化学品や、医薬品や農薬の開発製造受託サービスなどを手掛けます。利益貢献は小さめですが、耐火レンガなどのセラミックス製品や金融サービスなども行っています。
【AGCのセグメント情報(2024年12月期)】
AGCの事業をもう少し整理しましょう。同社は事業領域を「コア事業」と「戦略事業」に分けています。コア事業は安定的な収益基盤を、戦略事業は成長を担う領域です。「両利きの経営」と銘打ち、コア事業の深化と戦略事業の探索を同時に目指します。
コア事業はすでに一定のシェアを持つ既存事業です。建築ガラスやオートモーティブ、ディスプレイやエッセンシャルケミカルズ(苛性ソーダ、塩化ビニル樹脂、ウレタン原料)、セラミックスなどが該当します。
戦略事業は将来の柱を創出する新規性の高い事業です。エレクトロニクスやモビリティ、ライフサイエンスやパフォーマンスケミカルズ(フッ素製品、ヨウ素製品)で構成されます。モビリティは、自動車事業のうちCASE(※)向け製品が対象です。AGCは、2030年までに営業利益の60%を戦略事業から得る目標を掲げています(2023年12月期実績:44.1%)。
※CASE:次世代自動車の4領域のこと。Connected(コネクティッド)、Automated/Autonomous(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字