3期連続の営業減益 今期は増収増益見込みも本格回復は2027年以降に持ち越し
次に業績を確認しましょう。AGCは厳しい環境が続いています。利益の推移を、営業利益と純利益に分けて解説します。
営業利益は直近2024年3月期までに3期連続の減益となりました。円安による増収は追い風でしたが、液晶用ガラス基板や塩化ビニル樹脂の販売不振やコストの増加が利益を圧迫します。
これを受け、純利益も低調です。特に2022年12月期と2024年12月期は赤字となりました。最終赤字は営業外に計上の減損損失が主因です。2022年12月期はディスプレイ事業やプリント基板材料事業などで、2024年12月期はライフサイエンス事業などで大幅な減損が生じました。また、2024年12月期はロシア事業の売却損も影響しています。
今期(2025年12月期)は増収増益の計画です。特に利益は大幅な改善を見込んでおり、純利益で800億円を見込みます。とはいえ、これは最高益だった2021年12月期(1238億円)の7割ほどです。本格的な回復は、2026年12月期以降に持ち越されます。
【AGCの業績予想(2025年12月期)】
・売上高:2兆1500億円(+4.0%)
・営業利益:1500億円(+19.2%)
・純利益:800億円(前期は940億円の赤字)
※()は前期比
※2024年12月期時点における同社の予想
出所:AGC 決算短信