◆「NASDAQ100」という選択肢
積立設定金額ランキングで第4位にランクインした「<購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」は、「NASDAQ100指数(配当込み、円換算ベース)」に連動する投資成績をめざすインデックスファンドだ。「NASDAQ100指数」は、NASDAQ市場に上場する時価総額上位100銘柄(金融を除く)で構成されるインデックスだ。米国株式インデックスとしては、「S&P500」の方がメジャーな存在だが、近年の株式市場で活躍する銘柄がNASDAQ市場に上場している銘柄が多いことから、徐々に存在感を増してきている。
2024年11月末時点での「<購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」の組み入れ上位銘柄は、アップル(組み入れ比率8.8%)、エヌビディア(8.1%)、マイクロソフト(7.7%)、アマゾン(5.3%)、メタ・プラットフォームズ(4.9%)などとなっている。これに対して「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、アップル(6.9%)、エヌビディア(6.4%)、マイクロソフト(6.0%)、アマゾン(3.7%)、メタ・プラットフォームズ(2.4%)などとなる。上位5銘柄は同じだが「S&P500」は500銘柄を組み入れ対象とするために1銘柄当たりの組み入れ比率はやや低くなっている。また、「S&P500」は金融も対象になっているため、ウォーレン・バフェット氏が会長兼CEOを務める投資会社バークシャー・ハザウェイ(1.7%)が第8位の組み入れ銘柄になっている。
一方、「iFreeNEXT FANG+インデックス」は構成銘柄が10銘柄のみと限られるため、クラウドストライク(11.2%)、ネットフリックス(10.9%)、エヌビディア(10.3%)、サービスナウ(10.1%)、アマゾン(9.5%)などと1銘柄当たりの組み入れ比率が大きい。このように3種のインデックスファンドは、同じ米国株式を投資対象としていてもそれぞれに異なる特徴を持っている。当然、その組み入れ銘柄の違いによってパフォーマンスも異なる。過去1年間(2024年11月末時点)のトータルリターンを比較すると「iFreeNEXT FANG+インデックス」が52.6%で最も高く、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が36.7%、「<購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」が33.7%という結果だった。
それぞれの特徴を理解し、その特徴の違いがパフォーマンスにどのように影響するのか(たとえば、組み入れ銘柄数が少ない「iFreeNEXT FANG+インデックス」は個別銘柄の株価変動の影響を受けやすく基準価額の値動きが大きくなりがちなど)など理解が進むことが期待される。過去1年間のパフォーマンスの差が各ファンドの人気に直結していないのは、パフォーマンスだけではない個々のインデックスやファンドの特徴が影響していると考えられる。
昨年スタートした新NISAをきっかけにインデックスファンドを使った積立投資が人気化しているが、投資家の一人一人がそれぞれのファンドのパフォーマンスを確認し、その動きに納得している状態が続くことが望ましい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩