三菱アセット・ブレインズが発表する「投信マーケット概況」で「エマージング株式型(新興国株式型)」に分類されるファンドの2024年11月の月次資金流入額トップは「iTrustインド株式」になった。前月1位の「イーストスプリング・インド株式オープン」はトップ15のランキングから姿を消すなど、同じインド株ファンドの中でも順位の大きな入れ替わりが起こった。トップ15のうち8ファンドが前月はランキング圏外からのランクインになっているが、エマージング株式ファンドのパフォーマンスが悪化していることによって、「エマージング株式型」全体への資金流入額は大きく落ち込んだ。

 

◆インド株ファンドのランキング大変動

「エマージング株式型」の中で最も人気のあるカテゴリーは、インド株式に投資するファンドだが、資金流入額のランキングは11月に大きく動いた。ランクアップした主なファンドは、「iTrustインド株式」「ダイワ・インド株ファンド」「シン・インド割安成長株ファンド」など。ランクダウンしたのは、「イーストスプリング・インド株式オープン」「HSBCインド・インフラ株式オープン」「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」などとなっている。このランクアップしたファンドとランクダウンしたファンドの間には、取り立てて特徴があるわけでもない。

唯一、「iTrustインド株式」は、新NISAの「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の対象ファンドであり、その他のファンドは「成長投資枠」のみの対象ファンド。また、過去6カ月のトータルリターンが7.41%と際立って良く、さらに、信託報酬が0.98%とおおむね年2%前後の信託報酬率にあるインド株アクティブファンドの中では低位だ。このファンドが選ばれる理由がそこにある。

その他のファンドは横一線と言ってよく、どのファンドが優れ、どこが劣っているのか判断が難しい。今回の動きは、11月にインド株式市場が弱含みの横ばいとなる中で、インド株の上昇に期待した積極的な投資意欲が減退したことを表しているものと考えられる。インド株インデックスは9月に史上最高値を更新した後は、弱い横ばい相場が続いている。株価のバリュエーション(実力に対する評価)も高過ぎるという指摘もあり、新規で投資することがためらわれる状況だ。そのため、全体的に資金流入が細り、それまで資金を集めていたファンドには利食い売りも出やすかったのだろう。株式市場の出直りを待つ展開になっているようだ。