<前編あらすじ>
九州の地方都市で生まれ育った佐藤彩子さん(仮名・38)。
先祖代々、医師家系の恵まれた家柄で、学生時代にはアメリカ留学もしています。しかし、両親は娘をかわいがるあまり、就職では実家から出ることに大反対。そして30歳を過ぎても独身の女性には周囲から偏見の目が向けられるようになりました。
「あの子は性格が悪いから結婚できない」「アメリカに留学したから日本人と結婚できない」「変人だ」……。佐藤さんの唯一の味方だった母親も、心ない声に苦しむ日々を送っていました。
●前編:地方女子の悲哀。「留学していたから日本人と結婚できない」38歳婚期を逃した女性への「とんでもない偏見」
1番悩んでいるのは本人
お母さんもとても大きな悩みを抱えていましたが、1番苦しんでいるのは佐藤さん本人です。アメリカに留学して英語に磨きをかけたけれど、地方にはそれをいかせる職業がありません。
東京で働きたいと親に頼んでも、結婚で家を出る以外は駄目とのこと。女の子はお嫁にいくことが大事と考えているからです。そのようなモヤモヤした気持ちのまま、佐藤さんは何年も生活をしていました。
そしてついに家を出る覚悟で、東京の結婚相談所に入会をしたのです。
入会してすぐに「ニューヨークの人はどうか?」と提案をしてみたところ、「そんな人がいるんですか?」と驚きと共に大喜びをした佐藤さん。是非お会いしたいと話がまとまり、Zoomでお見合いをすることになりました。
ただ彼には結婚相手に対する条件がありました。アメリカの永住権を取っており、日本には帰る気はないことを理解してくれる人です。加えて、英語が話せる人、自分が忙しいのでそれほどお世話ができないので、日常生活がひとりでできる人ということです。
佐藤さんのご両親は健在ですから、2人がどう考えるのかは不安材料としてありました。お金をかけて育てた子どもですから、近くにいてほしいと思うかもしれません。特にお母さんは、ずっと佐藤さんのことを心配していたのですから、もしニューヨークに行くことになったら、寂しくて仕方なくなるかもしれません。