財テクや節約術を学びはじめた美希

後日、美希の両親が残りの借金を一括で支払い、完済を知らせる通知が届いた。

今後は、消費者金融ではなく父の口座に毎月決まった額を振り込む約束だ。

結局、義両親の援助を受けることになってしまったことで、大輝は落ち込んでいるようだったが、今は気持ちを切り替えて前向きに仕事に励んでいる。一方、美希はさらに大きくなってきたおなかを抱えながら、少しでも早い返済の手助けになればと、財テクや節約術などを学んでいる。

「大輝、今月も順調だね。このペースだとあと半年くらいで返せるかも」

「美希のサポートのおかげだよ。ありがとう」

家計簿を開きながら明るく声をかけた美希に、大輝がふっと目を細めて美希のおなかに手を当てた。

「……お、いま蹴ったよ!」

「パパって分かってるのかな。きっとしっかりしろって言ってるんだよ」

「分かってる。この子のためにも頑張るよ」

大輝は困ったように眉を下げる。美希はなんだかおかしくなって小さく笑い、大輝の手に自分の手を重ねる。もう一度、今度はさらに強く赤ちゃんがおなかを蹴った。

複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。