浪費をやめない母の生活費を建て替える日々

母の当面の生活費は私が立て替え、実家のマンションはなるべく早く売却する。そこまではすぐにコンセンサスが取れたのですが、その後が大変。

母は私や弟との同居は「気を遣うから嫌」と拒否したものの、70歳を過ぎて賃貸住宅に1人で住まわせておくのは心配です。

かといって、母自身は健康体で介護保険の要支援や要介護の対象になりませんから、いわゆる特別養護老人ホームのような施設には入れません。

弁護士さんが母のように元気な人でも入居可能な民間の老人ホームを幾つか探してくれましたが、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)にしても居室は25㎡(約16畳)ほどの広さで、母は「こんな狭いところには住めないわ」とにべもありません。

地方に行けばそれなりに広い居室が確保できるところもありましたが、今度は「私に都落ちさせる気?」と反発します。

自分が置かれている立場を全く自覚せず、生活レベルを落とさずに遊び仲間との付き合いをいかに続けていくかばかりを考えている母。自分や家族に火の粉が降りかからないように巧みに身をかわしながら、少しの分け前も逃さないよう目を光らせる狡猾な弟。

そんな家族との話し合いは平行線をたどり、既に5カ月近くが経過しています。その間も、母の生活費は容赦なくかかってきます。母は困窮しても支出を抑える気はないらしく、立て替えた金額の累計は150万円を超えました。

前回の話し合いの際は、母が「正月は友人と九州の名旅館で過ごしたい」などと突拍子もないことを言い出したので、思わず、「母さん、そういうことは落ち着き先が決まってから考えてよ」と声を荒げてしまいました。

我が家も来年は一人娘が5年生になり、妻は私立受験に向け塾に通わせることを考えているようです。そうした中で、母の立て替え金が増えていくのは不安でしかありません。

先日、妻と母の話をしている時に、妻がこんなことを言っていました。

「イソップの『アリとキリギリス』って所詮は寓話だよね。お義母さんを見ていると、キリギリスは結局いつまでもキリギリスだもの」

まさに、その通りだと思いました。そして、私のような「アリ」の息子は一生「キリギリス」の母や弟に振り回されていくのかもしれません。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。